あいざわアセットマネジメント株式会社役職員ブログ

第256回 < 変動価格制の普及とビッグデータについて >

米国出張を予定しています。ニューヨークのホテルは総じて非常に高いので、出張の都度、安く泊まれるホテルを探すのですが、季節、曜日、その他もろもろの理由によって、宿泊料金は大幅に変わります。日本でも既に一般的な現象ですが、今まで1泊1万円で泊まれていたホテルが、3万円になっているなどということも珍しくなくなりました。逆に、いつもは高い料金のホテルが、スペシャル・プライスということで割安に取れたりするとうれしくなります。そんな変動料金の波が、航空券やホテル宿泊代の他にも徐々に波及しているようです。

少し前のウォールストリートジャーナル紙で取り上げられていましたが、スキー場のリフト利用料、動物園の入園料、高速道路の利用料金等も繁忙期か閑散期かによって、料金を大幅に変えているようです。調査によれば、変動価格のもとで消費者が支払う平均価格の上昇が観測されたそうです。また、混雑緩和を目的とした変動価格制度の導入を行った動物園では、こちらも効果が観測されたようです。幅広い業種での変動価格制の導入は、データの蓄積、分析を容易にした、技術革新によって起きつつある変化といえます。

ビッグデータが変える世界の中で、これまで私たちは金融ビジネスへの影響に注視してきました。運用手法の変化、不特定多数の個人投資家へのマーケティング手法の変化、ロボットアドバイザーもその中の一つといえます。しかし、当然のことなのですが、一消費者の観点から見てみると、ビッグデータは様々な場所で私達の生活に影響を与えています。さらに想像を逞しくすれば、これは、私達の働き方や生活スタイルにも徐々に影響を与えていくことになるはずです。

休暇の取り方を考えてみても、皆の休みが重なる特定時期に旅行に出かけるよりは、閑散期に休みを取った方が経済的には合理的な行動になります。したがって、会社としても、皆が、お盆や年末年始やゴールデンウィーク等の時期以外の通常時に休暇を取りやすい環境を作った方が、個々人の休暇の質は上がることになるかもしれません。ビッグデータが映し出す、人の流れ、人々の生活様式や要望、お金の使い方が新しいビジネスチャンスを育んでいます。インターネットの誕生と普及ほどの分かりやすいイノベーションとは言えないかもしれませんが、データの活用は人々の生活に影響を与え、変化を生んでいます。

日本の長引くデフレは、需給ギャップが原因と言われています。私の理解では、企業が努力をして生産性を高めるほど、製品、サービスは供給過剰に陥り、物価は低下する傾向にあります。今後、企業努力の方向性は、質の高いサービス、製品を適正な価格で提供する方向に進んでいくべきかもしれません。その際、消費者のライフスタイル、ニーズを正確に把握し、サービス、製品を提供することは勿論、ライフスタイルそのものに対してインパクトを与えるものを作り出すことが求められると思っています。私たちも、この変化を見落とさず、ビッグデータをビジネスに生かしていきたいと考えています。

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