あいざわアセットマネジメント株式会社役職員ブログ

リモートワーク支援と掛けて、クラウド・ネイティブと解く。そのこころは

私の住む浅草は、実は(?)隅田川沿い。その昔は浜辺ですらあったことから、漁師の兄弟が海に出て投網を投げて漁をしたところ、どうも木の人形が引っかかるので海に戻してはまた引っかかる。不思議に思った兄弟が、その木の人形を土地の領主に持ち込んだところ、実はとても貴重な観音様の木像だったことから、領主の館を観音様を祭るお寺にした、というのが、浅草寺の始まりですらあるのですが、緊急事態宣言が終わる前から、週末になるとそんなありがたい観音様の上がった海の今の姿である隅田川には轟音を立てて走り抜けるレジャーボートやジェットスキーの集団が。。。気持ちよさそう、というのか、三密じゃないの?というかは、なかなか難しいところですが、少なくとも、リモートワークで家から出ることなく、ストレスを溜めてコロナ疲れした週末にはただただうるさいです。

クラウドのサービスは雲の中に?

クラウドのサービスは雲の中に?

さて、そんなリモートワークですが、いろいろな企業で既に今年開催予定だったオリンピック・パラリンピックに向けて取り組みをされていた上、当社のある東京都でも今回のCOVID-19対策としてリモートワーク支援をしたこともあり、ポスト COVID-19とか、ポスト・コロナとか呼ばれる今後における私たちの生活様式の一部としての働き方に、従来のような「仕事のためにオフィスに通う」だけでない選択肢がより浸透することになったように感じます。

当社でも、導入当初は、それでも事務所に。。。という声もそれなりに聞こえていましたが、緊急事態宣言終了後になっても全員がリモートワークになる、というくらい当社の中でもリモートワークが浸透し、オフィスで働くことのメリットと、リモートワークで働くことのメリットを選択しながら働く、というのが今後の当社のスタイルになっていくようにも感じています。

リモートワークを支えるインフラ – 特にクラウド・コンピューティング

しかし、それを実現するには、いろいろな意味での事業インフラの整備が重要になるのですが、海外のウェビナーに参加していると、グローバル企業を中心にクラウド・コンピューティング(まぁ、一般にクラウド、と言いますね、ここは。)を活用した基幹業務の転換を進めている事例に触れることも多く、そこで印象に残った言葉が、Cloud-Native (クラウド・ネイティブ)という言葉です。これは、基盤にクラウドを使うのは当然として、その上で実行されるアプリケーションにまで踏み込んでクラウドに最適化するという考え方を指すそうです。

クラウド・ネイティブって?

元々、ソフトウェアも、それを走らせるハードウェアも、その目的や利用頻度、利用者数を踏まえて(費用的にも)最適なものでデザインして、構築されるのですが、もし利用者数が10倍になって頻度や取り扱うデータ量が100倍になったら、想定外の使われ方をしているのでハードウェアの増強は当然のこと、ソフトウェアもそういう大量処理に適した形に書き換える、という後追いの拡張対応とシステムの継続性の両立が難しい、というのが、従来の、という意味でのオンプレミセスのシステムの問題点の一つでした。

それに対して、コンピュータのハードウェアの仮想化の技術の進歩により、余剰リソースの有効活用が当初の目的でもあった拡張性の高さによって、ハードウェアの拡充が容易なクラウド環境で、その上で使われるソフトウェアやライブラリの進歩、ネットワークを通じたデータのやり取りによりプログラムの取り扱うデータの対象にハードウェアの垣根がなくなったことなども手伝って、全てがクラウドで解決するクラウド・ネイティブという発想が生まれ、徐々に主流になってきているようです。

個人的にはGoogle Cloud Platform を使って、特定のメールの処理の自動化をする、と言った簡単なプログラムを書くという形で触れていましたが、今回のリモートワーク環境の拡充という機会に、入り口ではありますが、その他のクラウド・プラットフォームに触ってクラウド・コンピューティングを当社の事業インフラに活用するということに試行錯誤を重ねています。

クラウドのご利益って?

例えば単純なところで、社内会議の文字起こし。誰かがじっくり録音した会議を何度も聞いて文字にしていく作業となると、その人のその時間を有効活用できないことになります。少なくとも、その会議を行った時間の二倍の時間は掛かります。そこで、クラウド・コンピューティングのサービスの一つに、AIを利用した文字起こしをする機能があるので使いたい、と思います。この手のサービス、適当にマイクでちょっと話すと文字にする、というデモでその能力を確認することは可能ですが、例えば1時間におよぶ音声ファイルを扱ってもらおうとするとそう簡単にはいきません。そこでどうするか、というと

  1. クラウドにある、ストレージに音声ファイルをアップロードする。
  2. ファイルがアップロードされたら、文字起こしサービスにその音声ファイルを送り込んで、その文字起こしをした結果のファイルをもう一つのストレージにファイルの形で作成させる。
  3. 文字起こししたファイルの中から、文字起こししたテキストを抜き出してメールで知らせてもらう。

これを実現するには、クラウドに、音声ファイルをアップロードするストレージと、結果を受け止めるストレージをそれぞれ準備し、「ファイルがアップロードされたらそのファイルを文字起こしサービスに送り込む」プログラム、と、「文字起こししたファイルから文字起こししたテキストを抜き出してメールを送る」プログラム、をそれぞれ準備することになります。

実際、やると難しいんじゃない?

実際にやることは、Excel でマクロを書いて繰り返しの作業を自動化したことのある人なら、イメージを持ちやすいかと思います。しかも、プログラムも最近データ処理するならば覚えた方がいい、と言われる python が使えますので、実は案外簡単に作る事ができます。ですので、もしこれを読んで興味を持っていただけたなら、まずはクラウドの環境に触れてみると、いろいろと新しいアイデアが実現出来ると思いますよ。

クラウドの面白いところは、このようなパーツの組み合わせによる自動化(ゆくゆくはモバイルアプリまで出来ますね)だけでなく、仮想化されたプライベート・ネットワークを作り出すことも出来るので、クラウドの中に箱庭のように(今時の言い方で言うならば、インターネットの環境から切り離されたサンドボックスの中に)仮想デスクトップを並べた仮想オフィスに仮想コールセンターを作る、ということも可能、です。いつ、どこにいても、この仮想オフィスのデスクトップにログインして常に変わらないデスクトップ環境で仕事をする、ということも可能になる、と言うことで大手企業でも実際に導入している実績もあるそうです。しかも、サービスは時間単位で課金されるので、ずいぶん昔のBCPでよくあった、どこかの山里離れたところにオフサイト用の建物を押さえていつ電源を入れるかわからないPCを買って並べる、というような使うかわからないリソースに資金をあらかじめ払う必要もない、というメリットもあるのです。とはいえ、色々試すと、用途やセキュリティの都合などから使えない機能もあるので、こちらも当社でどう利用していくのかまだ結論が出ていません。

リモートワーク = 新しい生活様式、なんて言わないけど

ちょうど、これを書いている日(あ、いつものように、このブログの日付の後の日付ですよ)に、個人的に使っている(かなりオタク趣味な)インターネット・プロバイダーさんが、オフィスを閉鎖して社員全員をノマドワーカーにする、と言うニュースリリースを出しました。当社のような業種ではここまでのことは出来ないとはいえ、オンライン、オフィライン共に使えるリソースをいかに有効活用しつつ、いわゆるDX(デジタル・トランスフォーメーション)をしながら、事業継続性と機能性、実務上の効率性など現在の業務と役職員の生活の質を維持・向上しつつ「新しい生活様式」の時代のオフィス環境を作っていくか、引き続き学びが続きそうです。

え?こんなバタバタなときに?と思われそうですが、いや、こんなときだからこそ、ですね。

モバイルバージョンを終了