あいざわアセットマネジメント株式会社役職員ブログ

第188回  < オリンピック開催地決定に思うこと >

日曜の朝起きてみると、2020年東京のオリンピックの開催が決まっていました。手放しで嬉しいニュースというのもあるものだ、と感慨にふけってしまいました。スポーツ好きな一個人として非常に楽しみで、7年後の将来について早くもいろいろと思いを巡らしてしまいます。何より自分でも楽しんでいるトライアスロン、マラソンやゴルフ等の競技を間近で見る機会があると思うと今から盛り上がります。

通常、7年後の将来を想像することは容易ではありません。行動経済学の授業を受講していた折に参加者にアンケートをとったことを思い出すと、私たちは将来のことになればなるほど予測を行う努力を放棄する傾向にあります。人々は1年後、2年後の自分の姿や会社の状態、あるいは家族の状況をある程度リアルに思い描くことができるのですが、これが5年後のことになると突然大きくぼやけるという実験結果でした。5年以降の将来の事柄になると、私たちは過度に楽観的になったり、現在の状況に固執したりすることで予測や計画の精度が大きく低下し、曖昧になります。もちろん、将来のことを的確に予測することは誰にもできません。現実的には、計画も現実に即して修正を加えていかなければ、投資はもちろん会社経営、家計の運営にいたるまで立ち行きません。

しかし、ここで突然、「7年後の2020年に東京でオリンピックが開催される」という事実が現れただけで、我々の将来予測に一つの基準点が与えられます。そして、この基準点をベースにして私たちはいくつかの仮説をかなり具体的に(そのほとんどが思い込みであったとしても)思い浮かべることが出来るようになります。そして、この事実が我々の生活やビジネスに大きな影響を与えるものであればあるほど、私たちの将来像を予想することの助けになります。個人的には、このことが、オリンピックの開催地における大きなメリットなのではないかと思っています。

投資であれば、スポーツ関連ビジネスやオリンピックの競技スタジアムの建設や改築需要の影響を受けるビジネスの関連株式銘柄の買いを喚起することになるでしょうし、会社経営であれば、オリンピックによる特需を見込んだ新しいビジネスモデルの立案につながることと思われます。最小コミュニティである個人や家族のレベルでも、7年後にオリンピックをどのように観戦するかを想像するでしょうし、それによって何らかの行動を起こす人々も出てくる可能性もあります。

このように、今回のオリンピック開催地として東京が選ばれたことで、私たちはリアルにかなり先のことを予測する機会を与えられたことになります。ここから想像力を働かせて自らの生活設計を見直すことや、投資活動を行うことはなかなか楽しい作業に思われます。オリンピックをきっかけに海外投資家や事業家が日本にあらためて目を向けてもいます。この機会を捉えて、日本における新たな投資機会を発見し、あるいは創り出していければと考えています。

モバイルバージョンを終了