あいざわアセットマネジメント株式会社役職員ブログ

静かな休日の朝、何をしてますか?何を考えていますか?

私の住む浅草の7月、といえば、ちょっと歩いた先の入谷の朝顔市にはじまって、そこからかっぱ橋商店街の七夕を抜けて浅草に戻ってきて、浅草寺で四万六千日のご利益を頂戴したところでほおづき市を眺めて、そして月末の土曜の花火大会、という感じですが、今年も花火大会はキャンセルですが、その他の催しはなんとか出来たようでして、ぼちぼち普段通りのイベントの多い街のルーティンに戻りつつあるようにも感じています。

さて、そういう街に住んでいますと、イベントがあればその日の起きてからの活動内容がガラッと変わります。起きる時間自体変わるし、その後の行動だって通常運転というわけに行きません。でも、普段の日常生活はこなして行かないと、大事な朝ご飯は食べられなければ着るものも着られないし、家の中には新聞や生ごみ空っぽになったワインボトルやウィスキーのびんが山積みになるので、それはそれで日々の生活もこなさないといけません。

そう考えると、当たり前のことながら、普段の生活もテキパキこなしていかないといけないよな、なんて改めて思ったりします。

というのも、とある休日の朝のこと、その日は少し早めに目が覚めて、パンのストックがない事に気づいて、じゃあ、ホットケーキでも焼こう、なんて思い立ったのです。

ホットケーキの焼き方は多分みんなどこかしらで、こぐまちゃんとしろくまちゃんか、ぐりとぐらの兄弟に教わったことがあると思うので割愛するものの、「美味しゅうなーれ、美味しゅうなーれ」と声をかけつつホットケーキの声を聞きながら焼かないと綺麗な焼き色のつかない、シンプルだから難しいホットケーキなのですが、当然、朝のホットケーキと一緒にコーヒーも飲みたいじゃないですか。出来れば美味しいコーヒーを。としたら、普段から、コーヒー豆の旨味から苦味まで、全てを引き出すなんて豆に拷問を加えている、なんて娘たちに怒られる私ですから全身全霊を集中させてコーヒーを淹れないと我が家では許してもらえませんので、中途半端はあり得ません。

そこで、休日の朝だというのに、大問題が発生するのです。
朝起きてホットケーキを綺麗に焼きながら、美味しいコーヒーを入れる。二つ同時にやるには?

しかも、問題はそれ以前から起きています。普段通りにベランダの植木にお水をやっては、最近の新入りのサトイモの葉っぱに水滴を垂らしてはコロコロと転がるのを見る

なんて楽しみながらまだぼんやりとする頭をゆっくり目覚めさせつつ、洗濯物を回さないといけないし、当然洗い終わった洗濯物を干せるように、既に干してある洗濯物を回収し、でも、回収しただければ我が家に一つしかない洗濯籠が占拠されるので洗い終わった洗濯物を入れて干すことが出来ません。さて、これをいかにして効率よくこなせば良いでしょう。

まだまだ続きます。洗濯物と朝食が片付いても、まだ出られません。洗い物にさらにはゴミ出しという強敵がいます。単にホットケーキミックスの袋(ええ、小麦粉、砂糖とベーキングパウダーを混ぜるところから作るほどのガチ勢ではないので)と卵の殻、フライパンに薄く油を敷くためのペーパータオルだけでなく前の晩にワインと一緒に摘んでたべきったポテトチップスの袋にフィッシュ&チップスを買ってきた時に包んでいた新聞紙、だけでなく、全ての洗い物が終わってシンクに溜まった細かい生ごみまでまとめて捨てないと、出かけて帰ってきたら家中生ごみ臭くなって、イベントの疲れも倍増してしまいます。

もちろん、出かけるからには身支度をして(女性だと、化粧もしないといけないですよね。

男性も髭を剃らねば。。。面倒で嫌いですw)から、でなければ玄関の扉を開けることは出来ません。それに、出かけるカバンの中身、携帯に財布、家の鍵と、出かけた先で必要なものは入っていますか?あ、布団とかベッドも綺麗にしましたか?おっと、扉を開ける前に、ガスコンロの火も家中の電気もちゃんと消してますよね?駅の途中で「あ、消したっけ?」なんて言いつつ戻ってきたくないですよね?

そう考えると、もう、朝、家を出るまでお腹いっぱいになるくらいの選択と判断を求められた上に、実行と確認をこなしている事になります。みなさん、朝から大仕事、ご苦労様です。これだけこなすともう脳みそはくたくたになりそうですよね。え?そうでもない?

そうですよね。大抵の場合、日々をこなして行くと(同居する誰かに押し付ける、という選択肢含めてその場合はちゃんとお願いしている人に日々感謝の気持ちを伝えないと、ですね)ルーティンという形になって、それを判断なくこなして行く、というところにまで到達していそうなものです。特に、私のように 50年も生きてしまうと、いろいろなことが、いい意味でも悪い意味でも日々の惰性という名前のルーティンワークの形になってしまっているので、それが最適かどうかなんて、あまり考えずにそういうもの、と思ってやっちゃうんですよねぇ。良くないですねぇ、本当に。

 

さて、ルーティンをこなしていく、というと、なんとなく日々やっつけ仕事をしている、というように聞こえそうですが、ファンドの世界の事務作業をするアドミやコントローラーにとってはそれが大事なお仕事であり、その段取りをつけて最適化を日々探るのがその仕事を正しく、確実に、かつ効率よく実行していくという意味で重要なアプローチになっていく、と言ったらどう思うでしょう。

事実、朝起きたら動けるものだからゴミ出しを先にやったら、ゴミの量が少ない時に出してしまって、結局家を出る時にその後から出た生ごみとかを別途持って行かねばならなくなって二度手間になった、なんて事と同じで、ファンドのNAVの算出のための作業を投資先の試算評価が全部出る前に作って出してみたら、後から出てきた評価を取り込んでもう一度一から資産評価と費用の期間按分の計算まで一通り全部確認、って、投資家候補にファンドの最新のパフォーマンスを見せたいから、と営業的なわがままに何度も手間を求められるってあまり効率的ではないですよね。実際、それでそんなに変わるものでも無いわけですし。

内輪の情報管理と営業との綱引きの話ならばまだマシな話で、もし、これが資産取得や売却の手続き上で起きたらどうでしょう。ものの売買を考えると、普通に、売買の条件とか交渉して

それに基づく契約書を作って

内容確認して同意して

サインして

期日になったらものを送って

ものが届いたら約束の品であるか、数は合っているか確認して

壊れていたりしたら価格調整とかしながら支払いを行って

なんてするのが、ごく普通に行われる事で、もしスーパーなどの小売やカフェでコーヒーを買うならば、契約書なんて結ばずとも、物とお金と交換で売買成立、といくわけです。

 

 

投資の世界だって、何の変わりもありません。会って、意気投合して、握手したら全てが終わり、なんてことはないのです。

お金とモノの引き渡しのための段取り、なんてのは、資産の存在確認を含め、売る側の自分自身と売り物に関する表明保証の内容の確認から始まり、誓約内容の遵守状況の確認、モノの個数や決済時の基準日以降のイベントに基づく決済額の調整の確認とその調整方法の同意、譲渡実行後の所有権に関する対抗要件の具備の手続きまでのタイミングが正しい時に行わないと、どういうリスクが発生するでしょう。さらに、今時のAML/KYCの厳しい世の中、取引相手の本人確認をいつしないといけないのか、は法令遵守違反にすらなるわけですから、ファンドを運営する以上人様の資産をお預かりする訳ですので、急いでやる、より正しくやる、の優先順位を日々念頭に置かねばならない、のです。

こんな物事の順序の話はプライベート資産の世界だけではないのです。

証券会社や銀行で目にされる公募の投資信託はその意味ではもっと大変なことを毎日強いられている(!)ケースだってあります。

私が以前手がけた投資信託商品では、東京時間の夕方にまとまる投信への売り・買い注文に応じて、その投資先である外国籍ファンドのルクセンブルクにいる、ファンド持分の名義書換代行業務を担当するチームに売り・買い注文が送られて、その情報がジャージー島の外国籍ファンドの管理会社に届くと、そこからロンドンのスワップ取引担当者に対してその売り・買い注文に合わせたスワップの想定元本の変更依頼が飛び、その変更に基づく証拠金の差額決済を数日後に行う取り決めがなされ、その取り決めの情報がさらに大西洋を渡ったボストンのNAVの計算チームとカストディのチームに送られ、カストディでは差金決済の準備を、NAVの計算チームでは日々の純資産価格の計算を行い、現地の夕方、ということは東京時間の翌営業日の早朝にNAVの情報と、その結果の資金決済情報が届くので、翌営業日の昼前までには、外国籍ファンドの純資産に基づく投資信託の純資産額が算出され、数日以内に投資信託と外国籍ファンドとの間の決済が行われる、という、本当に地球を一周するのと同じペースで情報と資金決済が行われる、というのを、ほぼ毎営業日、しかもエラーすることなく確実に行う、なんてことをするのです。

これを行うために、ファンドの設定の前には関係者が何度も集まっては巨大な模造紙の上でワークフローを確認し、それをそれぞれの海外の同僚たちに実行するように段取りをつける、ということをした思い出があります。こんな精密機械のようなフローを思えば。。。いや、ファンドそれぞれに事情と都合とがあるので、それぞれ大変なんですよ。本当に。

どのケースにおいても、もっとも大事なことは、まずプロセスを細かく分けて、ルーティンとして行えるところまで作り込み、かつ時間的な余裕がない中でもいかにして効率化を図るべく改善するか、なんてコンサルが言いそうな格好いいことより、もっと基本的なこととして、どこで誰がいつ、何をすべきか、という正しい順序を全員が理解すること、につきます。その上で、どういう目的のために、改善をすべきか、を、それが自分の都合なのか、相手に負荷を無駄にかけることか、全体に(クオリティの観点で、もしくは費用対効果の観点で)寄与するのか、を踏まえて考えながら、でも全体を崩さない、という作業になって行くのです。

この考え方は、例えば、プログラミングの世界でも一般化されてよく使われるルーチンはライブラリとしてプログラミング言語の一部に組み込まれる一方で、そのルーチンも入力と出力を変えない限り最適化を適宜進めて行く必要が有って、とか、GTD (Get things done) のようなライフハックでやる、ちょっとした効率化で手元の3ステップを1ステップに縮める、のような話に相通ずるところがあるので、実はプログラミングを書く思考プロセスがあると、事務フローの組み立てや効率化、改善というのはより効率的に出来るのでは、なんて個人的に思うところもあります。

そう思うと、今時は学校でプログラミングを教われるのですから羨ましいですよねぇ。私が若かった時分、プログラムなんてオタクのすることで自分で学ぶもの、ましてや21世紀の今ですら、自宅で届いたメールから定型文書を抜き出してスケジュールを自動的に作るなんて、ライフハック的なことをしようものなら、娘たちに「おやぢはオタクだ」、とコーヒー豆の拷問と同じようになじられる、のですが、それさえ気にしなければ、いい時代になったものです。


というものの、弊社で頑張って運用しているプライベート資産って細かいところがあれこれ違う、いわゆる個別性の高い取引ばかりだから、みんな違ってみんないい。。。でいいの?と思わず思いつつも、いや、業務の効率化というのはプロセスの汎用化とその個別適用への挑戦、なので大変だけど面白いトピックなんだよなぁ、なんて思っていたのですが。。。あれ、この話、どこかで以前書いていましたね。って、「テニスと証券決済」の話の時でしたね。詳細はそちらの方にぜひルーチンコールして頂いて、#カリスマファンドアドミ #史上最強のコントローラー を目指すにあたって、ファンドの業務を組み上げて、走らせて、プロセスを管理しながら、常に最適化を図る、というのは、もうそれだけで十分面白い仕事、ですので、ぜひ興味を持っていただけたら嬉しいかな、と思いつつ、

私はといえば、仕事なってほっといて、ホットケーキをいかに綺麗な焼き色をつけながら、コーヒーをいかに美味しく入れるか、という難題にもう少し頭を使って考えつつも、それ以上に手際よくできるか何度も繰り返してみたいと思います。

お後がよろしいようで。

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