「江戸の屑屋」と掛けまして「あけぼの投資顧問」と解きます。その心は。。。

先日の花火大会のときに自宅の片づけをした、なんて話をちょっとだけ書かせて頂きました。その際に、読まなくなった本や昔のゲーム機、そのソフトウェアは中古で買い取ってもらえる業者さんにダンボールに詰めて送ると、後日銀行口座に振り込まれてなんとなく小遣いを頂戴した、なんていい気分を味わったのですが、同じときに古くて動作の遅くなったラップトップPCやWiFi の機材なんかも専用の業者さんに同じようにダンボールに詰めて送ったものの、こちらはというと、処分にそもそもコストがかかるからか、古いと再販できないからか、特に入金はなし、と、ちょっとさびしいものですね。とはいえ、そもそも家の中を整理したいがためだったわけですので、目的を果たせたのだからよし、としないといけないのですが。。。

さて、これが浅草の町を歩いて寄席にすっと入って馬鹿笑いする落語なんて聴いていると、演目でこれに似たようなお話がたまに掛けられることがあるんです。ご存知でしょうか、「井戸の茶碗」というお話を。

「井戸の茶碗」のさわりだけお話しすると。。。

ご存知、浅草の寄席と言えば。。。

ご存知、浅草の寄席と言えば。。。

いまどきのように家のあふれかえったものを整理したい、と言うよりは、長年の浪人生活で食うに困ったが堅物のご浪人とその家の品のいい年頃の娘さんが、生活の足しにと先祖から引き継いできた木像を売ってもらおうと手伝いを頼んだと言うのが、通りすがりの曲がったことの嫌いな屑屋。これは、今で言うところのリサイクル業者さんでして、方々の家から出てくる不用品を預かり、またちょっと金目になりそうな物は目利きをして安く買い取っては高く売ることで商売をする、というお仕事ですので、ちょうどお世話になった中古品の買取・販売業者さんのようなものですね。

この屑屋さんは、木像の目利きに自信がないからと、このご浪人の木像を一旦200両で買いますが、それ以上で売れたらその分は売り手の浪人さんと分け合いましょうね、と約束したところ、とある若くて生真面目なお武家さんに300両で売れたので50両ずつ分け合ったのです。ですが、このお武家さんのところで木像を磨いたらおなかから50両の小判が出てきたではないですか。とはいえ、このお武家さんも生真面目な方なので木像は買ったが50両は買っていない、といって返そうとする(そのときにこの生真面目な屑屋を探す一幕が面白いことで有名なのです)が、堅物のご浪人はそれもまとめて売ったのだから、と受け取ろうとしない。それで堅物と生真面目との間に挟まった屑屋とでてんやわんやの大騒ぎになる、というお話。

で、このお噺がどう投資に結びつくのか、というと。。。

まぁ、それなりに有名なお話なのでネタばらしをしつつこの記事の文字稼ぎをしてもよいのですが、このお話を思い出すと、ついぞ屑屋ってのは今で言うところの当社のビジネスだよねぇ、と思うのです。江戸の町の、接点のないはずの裏路地のご浪人とお武家さんの間での骨董品の売買を取り持ちながら、(この噺では価値のつけ方のお陰で面白い騒動になるものの)値段の付きづらい骨董品に対してその目利きと評価を提供する、というのを当社の仕事のひとつに重ね合わせてみると、プライベート資産への投資ファンドの投資持分、というなかなか売りづらい資産を売りたい、という方に対してその評価を行い、またその売却されたいというニーズを、そのような資産への投資をしたい人を束ねたセカンダリー投資戦略ファンドで購入させて頂く、と言う形で満たすことで今までなかったファンド持分の流通機会と投資機会の両方を創造させて頂いている、と言う感じでしょうか。

その為に、屑屋が江戸の裏路地を歩いて回ったように、当社も世界中のそのようなファンド持分を売りたい、というニーズを聞いて回っては、売られたいという資産の内容を細かく伺って(こうすれば木像のおなかにある小判の評価をし忘れてました、なんてことになりませんしね)その価値の評価=買値を検討させていただき、値段があえば買わせていただく、ということを日々重ねてきております。当然のこと、最近ではご浪人のように資産を売らないと生計が窮する、なんて方はほぼ居らず、売られたいご事情は多種多様。ビジネス上不要になった持分の処分から投資ポートフォリオのリバランス目的、とパッシブな理由からプロアクティブな理由まで、本当に様々な背景でこの売りづらいプライベート資産への投資持分を売りたい、というニーズがあり、また、当社の手掛けているセカンダリー投資戦略がこのようなニーズに応えるべく低流動性資産に対する流動性を提供できている、というのはなかなか面白いものだ、と個人的にもビジネスとしても思っております。

じゃあ、あけぼの投資顧問って21世紀の金融界の屑屋?

と、胸を張って言いたいところですが、そもそも投資の大多数が向かう上場株式のようなパブリックな資産への投資に比べてプライベート資産への投資はマイナーなところで、かつ、パブリックな資産への投資は流通市場が整備されていますからセカンダリー戦略というのが入り込む余地もなく、さらにプライベート資産への投資も通常はファンドに投資するところをその投資がされている持分を買い歩く、なんてさらにニッチなことをやっているのでなかなか当社もセカンダリー投資戦略というものの世の中での認知は上がらないのです。ですが、江戸の町はリサイクルが当然の世界でありとあらゆるものがリサイクルでとことん使いまわされ、そのお陰もあって江戸の町はきれいだったそうですから、屑屋というのは相当認知された職業だったようです。

となると、21世紀の屑屋を名のるには当社はもっとがんばらねばならないようです。。。