みやたしのぶの「投資小噺」

「五反田のランチ」と掛けて「ファンドの目利き」と解きます。その心は?

当社のある五反田界隈は、よく「聖と俗の同居する街」といわれるほど、様々な人とお店が隣り合わせに並ぶ街です。そんな街で働く一番の楽しみがランチ時のお店選びでして、当社の社長と「夕べは○○食べたから。。。」と普段使わない部分の頭をフル回転させながらどのお店に入って何を食べようか、という休憩時間を過ごしております。

五反田は食の坩堝

さすがに五反田でこんな「おしゃれな浜辺でのランチ」は出来ません。って知ってますよね?

そうやってどのお店に入ろうか、と街を歩きながらあちこち目を配らせていくと、不思議と、その日に入るお目当てだけでなく、通りすがりのお店や街の変化にも目と興味が向くようになってきます。「こんなところにこんな古そうで、でも趣のありそうなお店があるのか」とか、「へ、ここにこんなお店が開店したんだ」とか、「あれ?ここにこんなお店あったっけ?」とか考えながら、じゃあ明日行こう、なんてもう翌日のランチのことを考えてみたり。そして、これまたよくあるのが「あれれ?ここにあったお店閉店しちゃったよ。いいお店だったのに」とか、さらには更地になった場所や看板の取り払われたお店を見ながら「あれ。。。えっと。。。ここって何だったっけ」まで。まぁ、最後のは若いつもりでもどうもがんばれているのは胃袋だけで、記憶力は体力同様に日々鍛え続けなければいけないようです。

閑話休題。五反田に限らない話ですが、飲食業というのはどうも回転が速いようでして、一時期よく通ったバーのマスターが言っていたのですが「飲食業は3年続けたら一人前」という言葉があるようで、まず3年間続けるのが大変のようです。実際、このマスターのお店も3年を過ぎて少し経ったところでお店を手放さなくてはならなくなかったので、3年過ぎても安心できないようです。都内の駅周辺を見回せば、どこも本当に多種多様なお店が並んでいますから、一通り入って食べよう、なんて思うと数ヶ月で回りきれるかどうか。実際に、ぱっと見て蕎麦屋さんが目立たないここ五反田から大崎界隈ですが、調べて実際に足を運んだところ、立ち食い蕎麦屋を含めて28軒ありました。ということは、全部のお店を回ろうと思うと一ヶ月掛かる計算になりますが、毎日蕎麦ばかり食べると普通は飽きますので他のメニューを組み合わせながら、気に入った数店をローテーションしながら通っていくことになります。そう考えると、より多くの人に、週に一度は寄りたいと思わせるお気に入りのお店になる競争は常に激しく、消費者の移ろいやすい好みを始めとしていろいろな理由で淘汰されていくことも珍しくは無いといえます。他方で、お店の営業を辞め、逆にお店を大きくするなどの理由で開いてしまった場所も大抵は数ヶ月もすると新しいお店が開店していますので常に新しい夢と希望とアイデアを持って参入する人がいる世界、でもあるようです。

ファンドの世界、も実は同じことが起きています。

巨大なファンドをいくつも運用する大手運用会社から当社のような小さくニッチな戦略に特化した運用会社まで、資産運用業界には数多くの運用会社があります。例えばプライベート・エクイティ・ファンドで言えば、国内だけでも80近くあり、また、毎年いくつものファンドが今まで運用していたチームの新しいものだけでなく新しく出来たチームによって始められているといわれています。一方、全世界でみると運用されているファンドは1万を優に超えているといわれています。

ヘッジファンドの世界でも、ここ数年、日本国内でも毎年2-3社が投資運用業の届出を行ってファンドを立ち上げている一方、例えばEurekaHedge のデータベースでみると全世界で数兆円規模から数億円規模までのヘッジファンドが24,000以上存在しています。

そしてこれ以外のオルタナティブファンドと称されるベンチャーキャピタルファンドや不動産ファンド、インフラ投資、そして投資の世界のメインストリートであり(その分、預かり資産はさらに巨大な)従来からある伝統的な投資戦略をとるファンドも、個人投資家が投資できる公募投資信託から巨大な機関投資家のための専用ファンドまで、大小問わず多数存在します。

数だけ見るとかなり多くのファンドと運用会社が世の中に存在し、運用会社が得意とし、成功すると信じる戦略でファンドを運用をすべく、投資家から資金と信用を集めています。当然、私たちの食べ物の好みの変化やアレルギー、今日のランチの予算制限と同じように、投資家の背景、その時々の投資環境や投資のトレンド、投資アロケーションなどを理由に、予想したほどファンドにお金を集められなかったりします。また、市場環境と戦略がうまく合わなかったなどの理由で運用結果を残せないファンドは、運用会社がその運用を中止する決断をして、資金を投資家に返し、資産運用業から退場していく、ということも表立って見えないものの、毎年新しくファンドが立ち上がるのと同じように起こっています。

ファンド投資の心得はランチのお店選びと同じ勇気が必要?

これらを踏まえると、目の前に準備されたファンドの一覧リストの中から良さそうなものをいくつか選んで投資する、例えるならば、自分のオフィスの目の前にある中華料理屋(でもビルの一階に来るお弁当屋でもいいのですが)に毎日入ってはそこのメニューからランチを選ぶということは、ひとつのアイデアかもしれません。選択というのは苦痛なものですから。ですが、広い視野と常に新しい好奇心をもってより多くの選択肢を持てるように今まで見たことの無かった投資機会を探し出して調べていく、というのは、ポートフォリオ構築という観点でみると、その最適化という意味でよりよいものに近づく可能性を高めてくれます。
対象を広げれば外れを引く可能性も増えるよね、といわれそうですし、実際に飛び込んだお店が必ずしもおいしいとは限らないのですが(笑)、そこは数多くファンドを見るとある程度の目利きが効いてくる、というのも、飛び込んだ数だけ(そして、外れを引いた数だけ?)当たりのお店をかぎ分ける力がつくのと同じこと、といえば納得してもらえるところでしょうか。

当社のゲートキーパー業務もそのような点でいえば、投資好きが集まったチームですので、そんな経験値に基づく仕事をちゃんとしているという評価を得られるように日々精進すべく、日々興味深い世界中の運用者たちと対話を築いております。

(ええ、私も五反田ランチマップを日々拡充させていますよ!)