みやたしのぶの「投資小噺」

「銭湯」と掛けて「投資機会」と解く、その心は?

私の住む町、浅草というところには、昔ながらのもの、というのがあれこれある、タイムマシンの宝箱みたいに思われる節がありますが、そんな宝箱の中に、天然温泉がある、というとちょっと驚かれるかも知れません。

浅草に天然温泉?

浅草六区というと浅草寺から西側にちょっと歩いた、浅草でも一番の賑わいの場所の南のハズレにこっそりと、でも古くからあるのが蛇骨湯。地下から掘り上げた茶褐色の温泉を銭湯にしているこちらは、地元の人たちだけでなく、最近では近隣に増えたインバウンド向け長期滞在型のホステルに泊まる外国人観光客も多く訪れるようになり、その昔の、日本人の持つイメージにある、古き良き時代の広くて大きなお風呂と富士山の壁画、ではなく、多国語に対応した券売機とフロントと、檜風呂の露天風呂など、お風呂のデパート、エンターテインメントとも言われる(?)スーパー銭湯ともまた違った趣きを見せています。

時代と共に消え行くもの、銭湯?

江東区大島にある久の湯さんの暖簾がBeams コラボでした。
江東区大島にある久の湯さんの暖簾がBeams コラボでした。

さて、そんな銭湯ですが、この記事を書いている2019年2月の時点で都内では550軒が営業中なのですが、この数字をみて多いと感じるでしょうか。実はこの7年で330軒以上廃業しているのです。以前の記事でも触れていますが、、実は東京の銭湯を巡るのが趣味なので、この7年ほど掛けて100軒以上の銭湯にお邪魔させて頂いています。ですが、100軒めぐるのと同じくらい、地図上にあるとされていた銭湯が廃業していて、先週で営業を終了した、という張り紙がされていたり、デイケア施設に転用されていたり、でも多くはマンションや分譲住宅に姿を変えているのを目の当たりにしてきました。公共の銭湯だからということで、水道代やガス代(今では薪で炊くような煙突のある銭湯も減りましたね。)について優遇されている、なんて非難する人もいるものの、それでも家風呂が一般的になった今ではお客の減少で営業を維持するのが大変だったり、後継者の確保が大変だったり、あの大きな設備を建て替える資金の調達が難しかったり、など色々と事情があるようです。

生き残りを掛ける銭湯、あれこれ

とはいえ、それを乗り越えてきた銭湯も数多くあり、例えば建て替える際にマンションの一部にするのは結構散見されますが、その際に集客力を上げるために一風変わったレイアウトを取る「デザイナーズ銭湯」にする(お風呂の中心にヒノキ風呂などの二つの湯殿を置き、その周りの壁に面するように洗い場を配置する台東区稲荷町にある「日の出湯」さんは個人的にお勧めです。)、スーパー銭湯顔負けのバラエティに富んだ数多くのお風呂をそろえる(荒川区日暮里の「斉藤湯」さんは圧巻です!)、など、特色を出す銭湯が増えています。また、器だけでなく、例えば銭湯の壁画をライブで書くイベントを行う、寄席や朝活の場にする、といった、色々なアイデアや定期的にイベントを行い(ちょうど今は、セレクトショップの Beams とのコラボを複数の銭湯で行っています。)ファンを増やして足を運んでもらおうとする営業努力をするところも増えてきています。ですので、ちょっと近所に銭湯があるようでしたら、顔を出してみると興味深いイベントをやっているかもしれませんよ。

投資と銭湯、似てるのは厳しい環境?

ところで、この話をどうやって投資に繋げましょうか。減りつつあるもの、と投資の世界で言われるのは、投資の妙味であったり、投資機会であったり、いろいろあるようです。その背景に例えば、取引環境の変化(例えば、取引所取引の高速化)であったり、情報化社会における市場参加者間の情報格差の減少であったり、これらを踏まえた取引手法の高度化であったり、枚挙の暇がありません。確かに取引間の裁定を狙うのが基本であるヘッジファンドの昨年のパフォーマンスも、ヘッジファンド投資のひとつの指標となるHFR加重平均指数は2018年の年次で-4.07%で終わりました。

とはいえ、これが例えばヘッジファンドの投資をやめる理由となるか、というとそういうことではないはずです。裁定取引の機会は確かに減ったかもしれませんが完全になくなることはまずないでしょう。これと同様に、他の投資についてもイールドが下がったことが債券投資や不動産投資をやめる理由にならないでしょうし、他の投資資産についても、そうやって投資対象を振り替えた投資家が集まれば同じことが起こりえるのです。

じゃあ、どうしましょう?

とすると、投資を生業とする当社のような仕事においては、より広く柔軟な投資機会を常に見つけ続け、その背景とそこから発生する可能性のあるリスクを正しく理解することが、投資家の方に対する重要な仕事になっていくと考えています。世界中の運用者たちから、思いも寄らない投資アイデアを聞いていくことは、銭湯めぐりの最中に(マンションにならずに)驚くような面白い銭湯が開いていてくれているのと同様、新しい体験と機会を与えてくれるのかな、と感じています。

まぁ、銭湯めぐりにつき物の銭湯のはしごをこの寒い冬にすると風邪を引きそうになるのですが、投資だとその状況はどういう状況を指すのでしょうね(笑)