白木信一郎の「投資運用苦楽」

第281回 < カプセルホテルについて >

夏休みシーズンに入り、電車や駅でも外国人観光客の方々の姿をみかける頻度が増えたような気がします。実際、訪日外国客数は伸び続けており、2017年7月まで1,644万人(日本政府観光局調べ)と、年間2,800万人が見えてきました。昨年の2,000万人達成の快挙からその勢いは止まるところを知りません。これも、国際的に魅力のある都市づくりをすすめてきた官民の長年の地道な取組みの成果だと思われます。

われわれ人間にとって、地球はどんどん小さくなっており、世界中どこに行くにも移動は格段に容易になりました。2008年創立以来、世界中の旅人の増加とともにビジネスを拡大しているのが、エアービーアンドビーをはじめとする民泊事業です。また、日本では、宿泊施設の不足を背景に、狭い場所を有効に活用できるカプセルホテル事業が大きく伸びています。私たちの旧来のカプセルホテルに対する印象は必ずしも良いものではありませんでした。あくまでも個人的なイメージですが、疲れたサラリーマンが残業、あるいは飲み会で終電を逃して、仕方なく活用する穴小屋のようなイメージです。サウナに併設されているというのも、どことなく印象が良くありませんでした。

カプセルホテルは、通常のホテルと異なり、簡易宿所と定義されているため、建築や運営が容易である反面、遮蔽された寝室を設けることができないなどの制約があります。歴史を見てみると、最初のカプセルホテルは1979年に大阪梅田にできたようです。1970年の大阪万博で「カプセル住宅」というイメージを展示した建築家の黒川紀章が設計を担当したということで、当時の住宅不足を反映した日本独自の進化を遂げた施設といえそうです。

最近、このイメージが大きく変わってきました。例えば、飛行機のファーストクラスのキャビンに見立てた部屋。日本家屋風の和室、図書館をイメージした部屋、女性専用でアメニティを充実させた清潔な部屋もあります。外国人観光客にも人気で、利用者が多様化しています。日本人の国内出張時のみならず、海外のビジネスマンが出張に使うケースも聞かれるようになりました。価格も手頃なので、海外の学生の日本旅行などにはうってつけかもしれません。

若いころ、ヨーロッパを巡る旅で、イギリスでは朝食付きのB&B(ベッドアンドブレックファスト)、大陸ではユースホステルを泊まり歩きました。オリンピックの選手村の施設をそのまま改装したり、歴史のあるお城を改装したりした宿泊施設に泊まった記憶があります。共通していたのは、同室になった宿泊者同士が仲良くなり、一緒に食事をしたり、旅の情報を交換するコミュニティがすぐにできたりするという点でした。様々な国から来た人々との会話でいろいろな文化に触れることができ、訪れた国での経験に彩を添えていたと思います。

カプセルホテルという日本独自の宿泊施設形態が、様々な国から日本を訪れる人々のハブになり、滞在の経験を通じて日本に対してよい印象を持ってもらえるきっかけになればと願っています。