白木信一郎の「投資運用苦楽」

第325回 < 日本のタクシー業界事情 >

最近、スマホ上で操作するタクシーの配車アプリの種類が急増しているように感じて少し検索してみたところ、すぐに20以上見つかりました。先行しているJapan Taxi(旧:全国タクシー)をはじめ、タクシー会社大手やIT会社の参入が目立ちます。日本のタクシー市場は飽和状態にあり、厳しいビジネス環境に晒されているとは認識していましたが、ライドシェアの登場やテクノロジーの進化という大きな変革の時期を迎えていると思われます。

国土交通省の調べによれば、2017年時点で全国に約23万台のタクシーが年間累計14億人以上の乗車客を運んでいるそうです。もっとも、2007年には約27万台で年間の乗客数は21億人以上ということだったので、徐々にタクシー離れが進んでいるという見方もできます。一方、タクシー、ハイヤーの法人事業者数は1万6千社に超えるという数値もあり、競争の激しい分野であることも伺えます。

海外に出かけるたびにウーバーを利用する機会がありますが、本当に便利だと感じます。国によって事情は異なりますが、例えば米国ではタクシーを使っていると、料金の支払いの度に、チップの額などでちょっとしたストレスを感じることがありましたし、英語が通じない国では言葉の問題があるために行き先を伝えることも一苦労ということがありました。その点、事前に行き先を特定でき、支払いもオンラインで済ますことの出来るサービスは画期的です。

タクシドライバーのプロフェッショナリズムが徹底しているイギリスでは、ウーバーのようなビジネスが入り込む余地がないのではないかと思っていましたが、これまで欠けていた配車サービスのニーズを捉えて利用者が増加しているようです。先日、フランス人の友人に聞いたところ、パリではすでにウーバーはなくてはならないサービスになっているとのことでした。実際にパリに訪問した際に使ってみると、どんな路地にも来てくれますし、タクシーに比べてホスピタリティも高いように感じました。

そんな便利なサービスがなかなか入り込めないでいる国のひとつが日本です。日本ではウーバーをはじめとするライドシェア型のサービスを道路運送法で「白タク行為」として禁じています。また、日本では都心を中心に公共交通手段が発達していることや、タクシーの台数が多いことから、ウーバーのようなライドシェアのニーズが限定的なのかもしれません。

しかし、日本にも確実にライドシェアやテクノロジーの波は押し寄せてきています。ウーバーは日本の市場に入るためにタクシー会社との提携という道を選んでいるようです。また、日本交通系のJapan Taxiのアプリを利用して配車できるタクシー数は、同社のホームページによれば現在全国で6万3千台を超え、900以上のタクシー事業者と提携しているようです。

大手タクシー事業者が数多くある小規模のタクシー事業者を吸収していきながら、オンラインでの配車やライドシェアなどの新サービスの幅を広げていくことになると思われます。また、自動運転技術が実用化される時代が来ることを見込んで、タクシー業界はさらなる変化を迎えることになると思います。身近でありながら、これまであまりビジネスの観点で見てこなかったタクシーですが、変化のうねりの最中にある業界だけに、面白いビジネスチャンスが存在しそうな領域と思っています。