白木信一郎の「投資運用苦楽」

第346回 < オジギソウを育てて >

ステイホーム、ワーク・フロム・ホームを実践するにあたり、家で楽しめることを考えたとき、草花を種や苗から育ててみようということになりました。購入したのは、オジギソウ、ミニひまわり、コスモスの種とモッコウバラとジャスミンの苗でした。プランターは家にあったので、腐葉土などを買い足して、さっそく植えてみることにしました。子供のころ、祖父母の家の庭にオジギソウが生えており、触れると葉が閉じる不思議な植物のことを思い出し、楽しみに栽培することにしました。

オジギソウの種の解説書には、発芽を促すために、60度程度のお湯に30分漬けて外皮をふやかしたり、種に傷をつけるとよいなどと書いてあり、指示に従い、グループに分けて夫々を試してみました。幾日かすると、コスモスとヒマワリが勢いよく芽吹きました。連休前の在宅勤務の合間など、息抜きがてら頻繁に眺めていましたが、オジギソウの芽はなかなか出てきません。やはり、お湯に漬けたり、傷をつけたのがいけなかったのか、などと悶々としていましたが、小さな芽がポツポツと出てきたかと思うと、みるみる双葉が増えてきました。10日もすると、本葉が出始め、思ったより密集し始めたので、株を分けて植え替えなどして様子を見ました。

オジギソウは不思議な植物です。葉に触れると、その葉が閉じ、また、茎のあたりから、お辞儀をするように倒れていきます。オジギソウは、ブラジルなどの南米を原産とするマメ科の植物で、江戸時代後期に日本にオランダ船で渡ってきた帰化植物ということです。亜熱帯気候の植物ということで、日本では沖縄を中心に自生しているようです。その不思議な生態について少し調べてみると、オジギソウには動物と似たような神経伝達システムが備わっているとあります。触れられたところから、水分をためている茎や葉の付け根の器官に電気信号が伝わり、タンパク質が変化を起こして水を移動させることで葉が閉じたり、茎がお辞儀する現象を引き起こしているそうです。動く植物というと、少しグロテスクなイメージのある、ハエトリソウなどの食虫植物を思い浮かべますが、オジギソウはだいぶ清楚な感じです。

種を植えてから1か月弱でオジギソウからは本葉が次々と出てきました。手や水滴が触れるたびに葉が閉じる様子はかわいらしく、飽きずに眺めています。この様子は、昔から不思議に思われていたらしく、古くはギリシャ時代の記録にも見られ、また、その後も1880年に進化論で有名なダーウィンが、自身の著作「植物の運動力」でも取り上げたようです。オジギソウはなぜこのような機能を持っているのでしょうか。光合成に必要な光の調整、水分の蒸発を防ぐ、強風や豪雨、あるいは外敵から身を守るため、などの諸説がありますが、実際のところはわかっていないようです。さらに不思議なことに、水滴などを人為的に落として葉を閉じさせることを何度も繰り返すと、危険ではないことを認識するのか、葉を閉じなくなることもあるようです。このことから、何らかの記憶、学習能力が備わっているという見方もあります。

在宅勤務が続く中、身近な植物を育て、鑑賞することは、ちょっとした息抜きになります。夏から秋にかけて今育てている植物の花が咲くのを楽しみにしています。もっといろいろな植物も見てみたくなり、先週はプランターに枝豆の種(大豆ですが)を植えてみました。うまくいけば、大好物の枝豆を収穫できるかもしれません。今回のコロナ禍は、ワクチンの開発が急速に進んでいることもあり、また、足下で新たな感染者数が減少傾向にあることから、遅かれ早かれ終息に向かうものと思われます。しかし、在宅勤務の習慣は、私たちの働き方の一つとして定着しそうな気配です。在宅勤務を楽しむための手段の一つとして、当面プランター栽培を続けてみようと思います。