みやたしのぶの「投資小噺」

「浅草サンバカーニバルに来るたくさんの人」と掛けて「世界的な金融の潮流」と解く。その心は

サンバと言えばてんとう虫。わかるかなぁ。。。
サンバと言えばてんとう虫。わかるかなぁ。。。

先週末は夏休み最後の土日だったこともあり、各地でいろいろな催し物があったようですが、私の住む浅草では土曜日にサンバカーニバルが開催されました。気づけば今年で37回目となったこのイベント、当初は浅草の町おこしを考えるにあたり、三社祭の掛け声、「ソイヤー、はっ、ソイヤー、はっ」のリズムとサンバのリズムが似ているのでは、と思ったから始めた、とずいぶん前にサンバカーニバルを企画した人から聞いたことがあるのですが、それでも、「浅草になぜサンバ?」と言われながらも気づけば、このイベントのためにチームを組んで参加する人たちもあり、地方から毎年バスで来て踊らないと落ち着かないという人もあり、と、すっかり浅草の夏の終わりの風物詩となりました。さて、そんなサンバカーニバル、地方からバスで来るという人たちの中には案外在日ブラジル人2世という感じの人たちも多く、その横の連携、というわけではないようですが、浅草に限らずブラジルとゆかりのある地方都市でも開催されているようで、国内あちこちでサンバを踊っているという方もいらっしゃるようです。

サンバカーニバルの人だかりをみてふと思った

さて、そんなサンバカーニバルの日ですが、いつも通りに沢山の外国人観光客がサンバカーニバルを目当てでなく普通にいらっしゃる訳ですのでかなりごった返したのですが、そうなってくると、カーニバルの衣装を着た人から浅草に来てレンタルの浴衣に着替えた人からとが交じり合ってごった返した町の中では、この人は日本人?どこの国の人?ん?なんて本当にわからなくなりそうでした。とはいえ、日本有数の観光地ですから、この人がどこの人?ということはあまり気にならないし気にしないことではありますが、これが金融の世界になるとそうもいかないのがこのところの世界的トレンドになっています。

世界的なマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策の流れの最先端

昨年の10月にオフショアのファンド設立国として有名なケイマン諸島の金融当局がマネー・ローンダリングに対する新しい規制を導入することを発表し、その詳細についても今年の3月に発表をしました。この新しい規制により、これから設定されるファンドはもとより、今まで運営されているファンドについてもマネー・ローンダリング対応の役員の任命と当局への届出を義務化することで、マネー・ローンダリングに関する情報提供を個別のファンドとしても行うよう求められることとなり、ケイマン諸島にファンドを設定した運用会社はその対応に追われています。

従前より、ケイマン諸島だけでなく、多くの先進国やオフショアと呼ばれる世界の投資家の資金を集めるファンド設立国の銀行や証券会社等の金融機関で口座を開設し、また資産の移動をする際には、本人確認やその目的や資金の出所について確認を求められるようになっていました。これは、反社会的組織等による資金洗浄目的の取引や、テロ組織への資金供与を防ぐ目的で行われていますが、今回、そのような水際で防ぐ作業を金融機関だけでなくファンドにおいても厳格に行うことを義務付けた、というのが、常に租税回避国、悪の温床等と揶揄されるオフショアのケイマン諸島で行われたのはとても大きな意味を持ちます。

というのも、オフショア地域は常に税制面や金融商品の規制の面で先進諸国から批判的な目で見られることから、あまり知られていないものの、常に先進的で透明性の高い情報提供を行えるよう当局が主導で対外的な条約等を締結し、またファンドの運営に対する統制についてもより高い水準を要求するべく法規制を強化してきた歴史があります。今回のファンドに対する規制強化も、マネー・ローンダリングやテロ組織への資金供与対策に対する世界的な協調の傾向の中で、今や世界の大きな資金の流れを担うファンド業界のエコシステムの中において、その一環としてより安心して利用される先進的なファンド設立国であることを示す狙いもあります。

日本におけるマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策の今

日本においては、というと、その多くが投資信託や証券口座経由での投資ということもあるので、今年3月に金融庁から発表された「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」に基づく金融機関等における本人確認や取引ごとの内容やその目的、資金の出所などの確認、通常と異なる取引の検知等からマネー・ローンダリングやテロ資金供与の可能性を見出そうとする、世界的な流れに同調するような取り組みが始まっている一方、ケイマン諸島のようなファンドに対する同様の取り組みを求めるという話はまだ出ていないようです。

しかし、ファンドと言っても今や投資信託だけではなく、匿名組合や投資事業有限責任組合形式のもの、その他プロは絶対に使わないような構造を用いてファンドと呼べるか疑問のある投資家保護の仕組みを備わっていないものも増えており、時としてこのようなところに対しても個人・法人問わず資金が流れています。そうなると単純に投資資金の蛇口ともいえる金融機関での阻止だけではカバーしきれないケースも出てくる可能性がありますし、これもマネー・ローンダリングやテロ資金供与の問題に限らず、詐欺的なものもファンドの振りをして世の中の投資機会のひとつと紛れ込める素地があることにもなるので、投資する側も投資先を選ぶ際には気をつける必要があることに留意すべきかもしれません。

まとめ

一昔前でも「怪しい人にはついていっちゃだめよ」なんていいつつも、なんとなく知っている、ということでちょっとした行きずりであってもまだ相手に安心できたこともありましたが、少なくとも金融の世界では今は見知っていてもお付き合いするにはまずは相手を疑わねば、という訳ですのでなかなか世知辛いようです。。。