白木信一郎の「投資運用苦楽」

第241 回 <  ビジネス・スクールについて  >

12年前にロンドン・ビジネス・スクールに入学し、修士号を授かる機会を得たことは、いま振り返っても大変な幸運だったと思います。日本の大学を卒業し、銀行に就職した当時は、英語のスコアはとても留学する基準に足りるものではありませんでした。しかし、業務上、数多くのヘッジファンドやプライベートエクイティファンドの運用者と面談しているうちに、もっと彼らと同じ土俵で話をしたいと感じるようになっていました。語学、知識、経験とないない尽くしの自分が何をするべきなのか。興味を持ち、思いを定めた、金融業界で働き続けるためには何が必要なのか。暗中模索の末、ビジネス・スクールへの進学を決めました。特に、ロンドン・ビジネス・スクールは、実務家の集まる金融の中心地のひとつであるロンドンにおいて、当時から、「ヘッジファンドセンター」や「プライベートエクイティ研究所」等を設置しており、キャリア構築に最適だと思えました。

念願かなって、同校のMasters in Finance(金融修士)のプログラムを取ることができ、30カ国近い国々からの留学生と切磋琢磨しながら勉強し、生活することが出来たのは素晴らしい経験でした。また、その時出来た各国の友人は間違いなく一生の宝物です。さらに、今の仕事をする上でも、語学、知識とともに、各国の専門家と伍していくだけの自信を得ることができたのは大きな収穫だと思っています。

今年の5月、同校としてははじめて、ディーン(校長先生)が日本に来訪しました。ロンドン市内の学校校舎の増築のための資金集めが主な目的ではありましたが、日本人を中心とした卒業生が集まり、活発な議論をすることができました。その中で、ディーンがアジアから同校に応募する人々が急増しているとの段になり、少しショッキングな数字を出していました。曰く、国別の応募者数を割合で考えた時、圧倒的な過半数が中国からの応募者で占められており、その数は年々増加傾向にあるとのことでした。一方、日本からの応募者数は、まったく増えていないそうです。米国のビジネス・スクールにおいても同様の状況を耳にしたことがあります。

殊更、グローバリゼーションの進展やビジネスにおける国際性の重要性を強調するつもりはありませんが、5年後、10年後のビジネスシーンを考えた時に、この差が、国力の違いとして大きく出てくるのではないかと感じています。勿論、ビジネス・スクールを卒業していなくても国際舞台で活躍している日本人は数多くいますし、むしろ、そちらの方が多いと思います。また、ビジネス・スクールを卒業してもその経験やネットワークをまったく活用していないケースも多々見られます。しかし、20代、30代前半の社会人として油が乗り始めた人たちが、世界に目を向けて外に出ていく一つの手段としてビジネス・スクールを活用する日本人がもっといても良いのではないかと感じています。

個人的には、学校の活動に積極的に参加するようにしています。今でも、かつての同級生や、先生、事務局のスタッフとの交流を欠かさないようにし、頼まれれば、講演や志望者のインタビューを受けるようにしています。第二の母校ともいうべきロンドン・ビジネス・スクールの発展とともに、同校における日本人生徒のプレゼンスが高まることを願っています。