第340回 < VIXの推移と市場動向 >

天皇誕生日の振替休日とその翌日に米国の株式市場が急落し、ダウ平均株価指数が合計1911.05ドル下げました。これは過去最大の下げ幅を記録した2018年2月2日と5日の2日間での1840.9ドルの下落を抜き、過去最大の下落幅となりました。もっとも、下落率としては2日で6.59%であり、過去、米国市場はこの程度の調整局面は何度も経験しています。市場のボラティリティに目を転じれば、2020年2月25日の日中VIX指数が久しぶりに30台に乗り、2018年12月の米国株価急落時以来の高い変動率となりました。

1990年以降のVIX指数が40を超えるような事態は、過去にロシア国債のデフォルト、9/11、ITバブル崩壊、リーマンショック、ギリシャ危機、米国債格下げ等、この30年近くで6回ほど起きています。この中で、グローバルの金融危機に起因しているのは1998年と2008年の2回です。また、VIX指数の推移をグラフで眺めていると、大きな上振れが生じる前には安定期が続き、その後徐々に振れ幅が大きくなり、最大の上振れを迎える傾向があるように見えます。VIX指数が恐怖指数と言われ、市場参加者の心理状況を映す鏡のように見られていることを考えると納得のいく話です。

そのように考えると、現在の市場参加者は、株式市場が史上最高の高値圏で推移し、また、前回の金融危機から12年を経て、「そろそろ何か良くないことが起こるのではないか」という心理に陥りやすい状況と言えるかもしれません。今回の市場変動率の上昇の直接的な原因は、コロナウィルスがグローバルに伝播することで経済活動が委縮し、企業業績が悪化する可能性を株式市場が織り込んだ結果と思われます。日本においても、インバウンド効果や大きな経済効果が期待されている東京オリンピックの開催が危ぶまれる事態となり、影響を受ける企業も少なくはないと思われます。市場参加者が今回の状況を過度に不安視しているか、まだ甘く見積もっているかは分かりません。たとえば、コロナウィルス問題が春から沈静化する方向に動いた場合、株式市場は底入れする可能性が高いと思われますが、逆もあり得ます。

一方、コロナウィルスの蔓延とは直接関係ないように思われるような市場イベント、例えば大手金融機関のデフォルトや中国における不良債権問題の顕在化などが起きた場合、複数要因による比較的長期の株式市場の調整局面とそれに伴うVIX指数の上振れが起こるような状況が十分に起こりえます。VIX指数が10を割り込んだ2018年1月から2年が経過し、その間、少しずつボラティリティが増幅しており、経験則では今後大きな上振れが起きやすい状況にあるといえます。

1998年、2008年に至る一連の状況を市場に相対しながら経験してきましたが、今回の状況から似たような局面を迎えるかどうかは全く分かりません。しかし、感覚的な話で説得力に欠けますが、「市場がざわざわ」しはじめてから、だいたい1年以内に大きなショックを受けるような事象が起きてきた印象を持っています。今後1年程度はいつも以上に市場を注視して運用に努めたいと思います。