第202回  < AIMA Japan一般社団法人の活動 >

本コラムでは過去にも何回か、AIMA(Alternative Investment Management Associationの略)という業界団体について触れてきました。1990年に英国で設立された機関ですが、筆者も2001年にメンバーとして加わリ、同年にAIMA の日本支部が発足して以降、様々な活動を行ってきました。現在では、日本における代表理事兼会長を務めていることもあり、その組織と活動について簡単にご紹介したいと思います。

ロンドンを本拠地とするAIMAは、ヘッジファンドを中心とする金融業界に関わる金融機関、弁護士事務所、会計事務所などの1,300社を超える法人会員と、6,000人を超える個人会員から成り、全世界の主要8ヵ国に拠点を持つ、グローバルに展開する非営利団体です。その目的は、主に、会員である企業、個人に対してプロフェッショナル同士の対話の場を提供するとともに、AIMAを通じて会員が業界の発展に対して積極的に貢献できるようなプログラムを提供することです。より具体的には、業界規範となる実務レベルの指導書の発行、業界の透明性と知識の向上を目的として教育的セミナーの開催、機関投資家、規制当局、メディア、政府等との対話を主に会員によって構成されたグループが継続的に行う等の活動が主な内容です。

AIMAの業界団体としての役割は、時代とともに変化してきましたが、特に2008年の金融危機、また、マドフ事件を含むいくつかの大きな不正事件を境にして、その重要性が更に高まっています。投資家保護の観点からは、AIMAは、ヘッジファンドをはじめとする投資に際して、投資家が事前調査、評価、そして事後にモニタリングすべき項目を質問票の形で整備しています。これらの調査票は、広く機関投資家によって使用され、運用者側にとっても有用なツールとなっています。その他にも、投資家保護に関しては、情報の透明性、投資家の平等性、プロ投資家と一般投資家の区別、運用時の資産保護、そして運用会社としての強い企業倫理規範の向上を目的とした活動を行っています。そして、近年特に重要になりつつある、各国規制当局による金融市場に対する「適切」な規制とチェック機能をサポートしています。AIMAは、適切な規制と検査機能を持つ市場は、より多くの参加者を呼び込むことで、流動性、効率性の向上を通じて、市場価値を高めることになるとの信念に基づいて行動しています。

また、過去のリーマンショックやロシア危機に見られたような、金融市場の「システマティック・リスク」を未然に防ぐことを目的として、AIMAは、恒常的に業界動向や資金フローについての情報を中央銀行や規制当局と交換しています。また、運用者のリスク軽減を目的として、リスク管理に関する指導書の編集、発行を行っています。さらに、通常の市場参加者の行動を縛らないようにしながら、相場操縦やインサイダー取引等の市場のルールを逸脱した参加者の取締りを行うために効率的な規制のあり方についての議論を行っています。

先日、当組織の英国本部に新たなCEOが着任し、日本を訪問しました。その際、国内の取引所、金融当局、中央銀行や金融機関等を訪問して意見交換を行いました。それらの面談を通じて、私たちが心強く感じたのは、日本における当局関係者や中央銀行の方々が日本の金融市場の「成長」を強く望んでおり、様々な施策を行っていることでした。その中には、我々との情報交換など市場参加者との恒常的な対話も含まれています。今後もAIMAの活動が日本ひいてはグローバルの金融市場の発展の一助になればと念じています。