「夏休みの宿題」と掛けて「読書」と解く。そのこころは。。。

私の住む浅草は、本当ならこれを書いている(本当に書いているんですよ(笑))最終土曜日には花火大会が毎年行われるのですが、オリンピックの都合で11日に移動し、それがCOVID-19の影響で中止になって、代わりに近所の東京スカイツリーの毎晩のイルミネーションで花火を表現する、と、とても不思議な感じです。とはいえ、江戸の頃の隅田川の花火といえば、打ち上げる数は少ないし打ち上げ場所も今から随分下流の両国橋の辺りだった、とはいえ、毎晩上げられていた、という文献があるそうですので、案外、先祖返りしたのかもしれませんね。

世の中は例年なら今頃は。。。

さて、Stay Home して、クーラーを掛けないと電話会議に近所のワゴン販売のパン屋さんのテーマソングが入ってしまう、という生活を続けているものの、窓の外は夏本番、のはず、なのですが、世の中は夏休み!という雰囲気にどうも欠けてしまっていますね。

夏休みといえば宿題(?)なので、やってみた

そんな中、夏休み、といえば、子供たちにとってその長い休みを使った「宿題」という名前の大きな取り組みをするいい機会(だなんて、本人たちは絶対に思ってないはず)ですが、そういえば大人だって、やってもいいはずですよね。

花は花でも

例えば、これ、何だと思いますか?

実は、家人たちが「あら、白木さんの家では水耕栽培やってるんだ」と社長のブログ記事を読んだらしく(ということは私のも読んでいるはずですが一言も触れず)、それに触発されて始めた水耕栽培の出来上がり、なのですが。。。実はこれ、青梗菜、なのです。青梗菜をスーパーで買ってきて、周りを美味しくいただくものの、真ん中の根をつけた小さな葉っぱ数枚を残した状態のものに水を入れたら、あら不思議。3週間程度で黄色く小さな花がつき、その1週間後にはタネのはいったサヤが出来たのです。

この種を土に埋めたら青梗菜が出来るかなぁ。(もうスーパーで買わなくていいかなぁ。。。)
来年の宿題になりそうです(笑)

で、今月はおしまい、としたいのですが、さすがに短すぎますね。

先月のは長すぎて読めない、というクレームを社長を筆頭に頂きました。でも、私の個人のブログ、ご存知ですよね。通常20,000文字、全部読むのに30分は掛かる記事ばかりが「基本」、てんこ盛りが信条ですのでそんなクレームはお構いなしに、とはいえ、ここは会社のブログですので、もうちょっと(?)だけ。

大人の宿題、本の感想文。しかも題材は。。。

6月のある日。見たことのない出版社さんから一冊の本が私宛に届きました。開けるとタイトルが「Q&A 投資事業有限責任組合の法務・税務(改訂版)」という、装丁も綺麗な500ページを僅かに超える分厚い本が。しかも、「謹呈 著者」という一枚の紙が。って著者って「ファンド法務税務研究会」って、誰?と思って、本を読むときの基本である「あとがき」をまず開く(って、グインサーガだけですよね。。。)と、見覚えのある弁護士先生の名前がずらずらと。

ここでわかりました。Withers 法律事務所の大森先生からの頂き物、だったのです。いつも公私共にお世話になり続け、先生と一緒に仕事をされている山本弁護士に至っては15年以上前には机を並べて一緒に仕事をした仲ですが、まさか著書を頂くとは。早速お礼のメールをしたところ、「次版に向けてご意見を」なんて、もう次の話をしているのか、私なぞ、ブログは遅筆で書きっぱなしなのにえらい、と思って、当社でも投資事業有限責任組合を設立し、運営していることから、実務面からみて、何かご意見できないか、と、まず読んでみました。

では感想でも。。。

が、そう思って一から最後まで読みましたが、正直辛かったです。考えてみてください。小説でなければ何かの目標を持って読む自己啓発系の本でもないのです。ストーリーがありません。いわば、ひたすら解説が続くだけです。ある意味クライマックスがひたすら続く本です。しかも、読んで「うんうん」と納得して読むには法律の文章を読み慣れていて、それに基づく実際のケースなどを想定しながら当てはめて、読んでいくことになります。おかげでいい頭のトレーニングになりましたが途中で休みがないクライマックスの連続で脳が疲れます(笑)

しかも、本のタイトルには「投資事業有限責任組合」とありますが、この根拠法がある意味特別法であり、世の中には民法上の任意組合や商法上の匿名組合といった古くからあって使われてきた組合から派生したものであり、また類似の仕組みを有する合同会社などあるから、その対比に丁寧にページを割いていますので、まぁ、どのケースならどのスキームを使うといいのか、なんてストラクチャーの好奇心をくすぐられますから、想像力を試されます(笑)

事実、税務のパートに入ると、投資事業有限責任組合だけを取り扱う税法はなく、組合を一まとめに取り扱う為、それぞれの組合の性質を、法的な部分と個別要素の部分の両方を理解したうえで法人税法や租税措置法などを読んでいく必要がある、ということを示しています。結構、このポイントって〇〇組合だから大丈夫だよね?的な発想に陥りがちなので、気をつけたいところで、その点で言えば、平成27年に大騒ぎになった、米国デラウェア籍LPSへのパススルー課税の否認については、判例を丁寧に解説してくれていますので、個人的に「そりゃ、当然だわ。何でそんなもの使ったの?」と思ったくらいです。

とはいえ、丁寧にいろいろと解説してくれるのはいいのですが、ちょっとそこまでは実務上ないよね、というケースがあったり。例えば、組合で専任の従業員を雇う場合は、というところ。確かに、この組合の運営の為だけに人を雇うことは技術的に可能です。そのために、と、ここでは人を雇ったら雇用保険や労災保険の組合の事業所としての加入は必須で、また組合は法人格がないから健康保険や厚生年金については5名までの雇用の場合は任意適用事務所なので任意ですよ、とあります。このところ社労士の勉強をしている私としては、まぁ、おっしゃる通りです(笑)と言いたくなりますが、組合の無限責任組合員になる法人で雇うから、そっちで福利厚生は面倒見るのが一般的では(じゃないと誰も採用に応募しないよー)?と思うわけですが、とはいえ、あれこれスキームを考え、実務に落とすっていうのは実際はこういう思考訓練の繰り返し、なので、個人的に大好きです(笑)

では、ここらでまとめでも

ということで、一通り読んでみなさんにお勧めしたいのは、これはまず手元に置いて、辞書がわりに使うこと、です。法律・税務マニアになりたいならば、一通り読んで熟知して、人からの問い合わせにこれに基づいて受け答えすべきですが、そういうことは弁護士や税理士の中でも専門性の高い、それこそこれを書いた研究会の皆さん(元White & Case の先生方)のように、ファンド業界に特化した人たちにお任せして、残りの私たちのような、ファンドを設定し、運用する人たちにとっては、そのような専門家の知識の塊である本書を手元に置いて実務で考えつつ、それでもダメだったら先生に直接「センセー、〇〇君が難しいこと言いますー」と相談するのが、先生たちの時間(と私たちの支払う支払い報酬)を節約し、より新しいことに集中できるという業界の誰にとってもメリットのあることだと思います。

ということで、これからはこの頂いた本は仕事中の枕にしつつ、必要に応じてページを広げ、それでも分からなかったら。。。先生たちに電話するとします。それくらいイノベーティブなこと、したいですねぇ。それが大人の仕事、いや、宿題の一つですね。