白木信一郎の「投資運用苦楽」

第350回 < 業界団体の役割 >

今年の夏から、ロンドンを本拠地として、グローバルに活動するオルタナティブ投資の資産運用ビジネスの国際的な業界団体である、AIMA(Alternative Investment Management Association)の日本代表を務めることになりました。AIMAは1990年にロンドンで設立された業界団体ですが、2001年に日本でも活動を始めた際にお手伝いをしたことがご縁で、これまで20年近く、ヘッジファンドを中心とするオルタナティブ投資について、業界団体として様々な活動を行ってきました。

しかし、一口に業界団体と言っても、何を行っているかは分からないことが多いと思います。ブリタニカ国際大百科事典によれば、業界団体とは、「同じ産業や業種にたずさわる企業によって構成され、業界内での利害調整と業界外への利益代表を行う組織。 – 中略 - 業界団体は、必要に応じて情報の収集・提供から調査研究、会員企業間および他業種企業間の各種提携交流の促進ならびに各種共同行為などの組織化、外国企業への対応や国際交流、関係諸立法に関する建議、行政指導への対応など関係官庁機構との折衝 -以下略」とあります。

AIMAは、現在、オルタナティブ投資に関わる、運用会社、投資銀行、証券会社、弁護士事務所、監査法人等を中心に60か国以上、約 2,000 社のメンバーによって構成されており、ヘッジファンド、プライベート・クレジットを運用するメンバーの運用額の合計は、約 2 兆㌦( 215 兆円) となっています。本拠地のあるロンドンでは、元 SEC の法務顧問など業界有識者によって構成される理事会によって運営されています。それぞれの地域によって、状況が異なるため、AIMAは各地に別途独立の支部および理事会を設けています。1999年に香港にアジアで初めての支部が設立された後、2001年に日本とオーストラリアに支部が設立され、その後2003年にシンガポール支部ができました。

日本支部設立当初は、オルタナティブ投資という新しい資産運用ビジネスへの理解を得るために、機関投資家や関係省庁に対して、投資戦略の概要や業界の状況等についての勉強会を開催する一方、機関投資家が投資対象となるヘッジファンド等への調査がしやすくなるように、業界統一の質問票の作成や、業界ニュースの提供を行いました。2008年の金融危機時においては、金融危機においてヘッジファンドが果たした役割などについての調査レポートを提供、様々な場で説明するとともに、運用会社としてのガバナンスの在り方などを提言していました。最近では、国内の複雑な税制に関する提言や、運用会社から見たコーポレートガバナンスの在り方に関する提言などを行っています。

また、AIMAは、オルタナティブ投資を中心とする資産運用ビジネスの更なる発展を企図して、米国の大学と共同で、CAIA(Chartered Alternative Investment Analystの略で日本語では認定オルタナティブ投資アナリスト)という、ヘッジファンド、不動産、プライベートエクイティ等のオルタナティブ資産に特化した資産運用全般について取り扱う資格制度を共同で設立するなど、幅の広い活動を行ってきました。

AIMAの日本支部のメンバーは、それぞれに本業を持っており、活動自体はボランティアとなります。時には政府や関係省庁からの依頼で講演を行ったり、大きなセミナーや会議を開催するなど、負担が大きいこともあります。しかし、それ以上に、自分が、所属している業界の発展に貢献しているという実感を得ることも多く、これまで長年運営に携わっています。今年、あらためて日本の代表に就任することとなり、メンバー企業の担当の皆様と、そして、唯一人専業で事務局機能を担っていただく方と、少しでも業界の発展に資する活動ができればと思っています。